熱でかゆみがおさまるメカニズム

虫さされやじんましんでかゆみがひどいときは、何年も前から患部をかかずにドライヤーで熱する方式で対応するようにしています。

個人的には絶大な効果があるので、どういうしくみで効くのか何年か前にネット検索で調べてみたんですが、ちゃんとした情報が見つからないどころか「そんなの効かない」という話も。

そんな中、こんな製品があるのを最近知りました。スマホのUSB-C端子に接続して使えるかゆみ止めです。ドライヤーとちがって出先でも使えるのはいいねー。

ということで実際買ってためしてみたんですが、やっぱりちゃんと効きます。

熱でかゆみがおさまるメカニズム

なんで熱でかゆみがおさまるのか?

ConsensusやPerplexity AIを使って論文を探してみました。

それで見つかったのが2020年のこの論文。専門外なので正しく解釈できてないかもしれないけれど、次のようなことが書いているように読み取れました。


かゆみの感覚の引き金を引く原因物質によって、温度変化での影響に以下のようなちがいが見られる。

  • セロトニンが引き起こすかゆみ → 熱でも冷却でもよりかゆくなる
  • ヒスタミンが引き起こすかゆみ → 熱でも冷却でも軽減される
  • クロロキンが引き起こすかゆみ → 熱でも冷却でも変化なし

温度変化でかゆみが増減するしくみはまだ不明。


あー、なるほど。虫刺されやじんましんのときは、ヒスタミンがかゆみの感覚の引き金を引くからドライヤーで効き目があるけど、逆に悪くなったり効き目のないかゆみもあるということか。何年か前の検索で煮えきらない結果が出てきた裏にはそういう事情があったんやね。

ヒスタミンは熱に安定であり、また調理加工工程で除去できないため、一度生成されると食中毒を防ぐことはできません。

ちなみにヒスタミン自体は熱に対して安定なので、熱で原因物質が分解されるという説は正しくないようです。あくまで感じなくなっているだけ。

虫に刺されるとアレルギー反応でヒスタミンが分泌され、血流が増えることで痒くなります。 ヒートイット は痒みの原因のヒスタミンの作用を加熱により分解するための虫さされ対策機器です。患部を約51℃で短時間温めます。この化学物質を含まない局所的にあたためるハイパーサミア(温熱療法)効果は、医学的にも確認されています。

heat itの日本での販売代理店のサイトにはこのような解説があるけれど、「ヒスタミンの作用を加熱により分解する」というのはあえてのミスリードをねらった表現に見えます。原因物質を分解するかのように見せかけて、実際に影響を与えるのは「作用」の方だと。

でも「分解」って言ってしまっていいの?

To relieve itching and pain, the affected skin area is briefly heated to approx. 124 °F. The nerves in the skin react to this heat impulse. According to the current state of research, it is assumed that this reduces the transmission of stimuli. The itching signal can no longer be transmitted properly and the need to scratch disappears. In order to achieve this itching-relieving effect on the skin nerves, a short heat pain is necessary. This medically proven active principle of hyperthermia can be used for mosquito, horsefly, bee and wasp bites.

ドイツの本家サイトの説明にはそういうミスリードはなく、「かゆみの感覚を伝わらなくする」という表現になっています。

heat itの効果を確かめたという今年(2023年)の論文がこれ。結論のところには、効き目はあったけれどしくみはまだよくわかっていないというようなことが書かれていました。

サハラ砂漠縦断回想録(9)-現実は妄想よりも奇なり

これで終わりです。

2002.01.09(水)

事故から8時間ほどたった朝の5時ごろ、昨日はずれたタイヤに腰かけてうとうとしていると、目的地のヌアクショット方面から車がやってきました。

おお!とりあえずこれで遭難の事実は知らせてもらえる!

と思ったんですが、それだけではありませんでした。

その車はこちらの車と同じくトヨタのランドクルーザーで、なんとスペアの車軸を積んでいました。しかも車軸を交換する技術を持った人も乗っていました。

まるで昨日の夜のうちに助けを呼んでいたかのような展開なんですが、誰も通信機器を持っていないことは最初に確認していたし、ましてや「助けを呼んだから安心して」みたいな話もなかったし、おそらくまったくの偶然。

レアな不運が、レアな幸運によって打ち消された・・・ということかな。まさかこういう助かり方をするなんて・・・

交換作業はてきぱきと済んで、すぐ元通り走れるようになりました。ありがとうございます!!

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その後引き潮を待って渚を突っ切らないといけないところがあって、これはその引き潮待ち集落?での写真です。今見ると、よくこの車に25人も乗れたなあ・・・

ここで魚の身をほぐして乾燥させたふりかけみたいな食べ物が買えたので、それがヌアディブ出発以来最初の食事になりました。

この先バウンドするような悪路はなく、ヌアクショットにはこの日のうちに到着。

全域がスラム化しているような町で、ここのキャンピングホテルで同室になったヨーロッパの人たちとバラック建ての食堂で肉スパゲティを食べたんですが、自分も含めた全員がその後食中毒になって宿で吐いていました。

サハラ砂漠の終わり

その後しばらくいっしょに旅することになる、まささんとぶんちゃんという日本人旅行者と町で出会ったのはこの翌日のこと。ふたりは、ヌアディブからは貨物列車の空き貨車移動組でした。

ヌアディブでは、ダクラから500mlのペットボトル1本で国境を越えてきた無謀な日本人がいたといううわさを聞いていたそうです。はずかしい(>_<)

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翌日3人でドイツの方の車に乗せてもらって、国境を越えてセネガルのサンルイという町に移動しました。

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途中の道は貝殻入りアスファルト。

サハラ砂漠の南端がどこかははっきりしないけれど、ヌアクショットは中でセネガルは外のようなので、サハラ砂漠の縦断はこの日のどこかで終わっていました。

追記 2023-08-11

リアルタイムメモが見つかったので、詳しい情報を補足しています。

サハラ砂漠縦断回想録(8)-状況整理と助かり方の妄想

2002.01.08(火)の話です。

以前ラオスのジャングルで車が動かなくなったとき、巻き込まれた現地の人たちはその状況に慣れているからか、対応に余裕が感じられました。

が、今回はちがいます。明らかに悲嘆に暮れているというかがっくり肩を落としているといった様子です。何か通信機で連絡を取っているような人もいません。

「お前日本人だったらトヨタのことわかるだろ?」

ただの旅行者に望みを託そうとするぐらいどうしようもない状況なのかとこれでわかりました。ネジがゆるんではずれたのならまだしも、折れた車軸は仮にトヨタマスターがこの場にいたとしてもどうにかできるとは思えないし・・・

ここまで平均時速30kmぐらいだとすると、進んでも戻っても200km以上町がないことになりそう。1月で、昼間の気温が体感で28℃ぐらいまでしか上がらないのが救いやけど、自力で助かる道はたぶんない。

夕方、ヨーロッパの人たちのとおぼしき車がキャンプしているのをはるか遠くに見かけたけれど、ここからずいぶん海岸寄りだったので、内陸を通ってきているこちらとはルートがちがいそう。待っていてもたぶんここは通りがからない。

逆にここを通りがかる可能性が一番高そうなのは、このパブリックカーの別便かな。運行頻度がわからないけれど、次の便か対向から来る便か。ただ、それも満員で走ってくるはずなので、空きに乗せてもらえるということは期待できない。

もしこの先助かることがあるとするなら、

  • まず発見だけされる
  • 町に遭難の事実が伝えられる
  • 救助の車を出してもらう

という流れが一番ありえそうかな・・・
無線連絡ができないとすると、それぞれに1日ずつかかる感じになるやろか・・・

そもそも貧しい国では医療も満足に提供されないところだってあるし、救助に期待するというのは先進国でしか通用しない発想だったりして。2人乗りの普通車に25人をぎゅうぎゅう詰めにしてまでコスト削減しようとする国に、手間ひまかけて救助を出す余裕なんてあるんやろか・・・

いや、仮に人の命が軽く扱われたとしても、このランドクルーザーを回収するためだったらコストが見合うと判断されるんじゃないか。

今は食料を捨ててしまって水しかないので、とりあえずできることは体力の温存だけでした。

サハラ砂漠縦断回想録(7)-遭難

2002.01.08(火)の話です。

パブリックカー

ヌアディブからヌアクショットに向かう「パブリックカー」は、満員になるまで出発しないアフリカンスタイルに準拠した公共交通手段でした。正式名称不明。

車はトヨタのランドクルーザーで、本来は運転席と助手席の2人乗りの車なんですが、助手席に2人・屋根に4人・荷台に18人の計25人乗りでようやく「満員」となりました。出発は確か正午ごろ。

自分は荷台の左の一番後ろのふちに内向きに腰かけるポジションだったんですが、つらいのが床に片足しかつけなくて安定した姿勢が取れないこと。道なき荒野を行くので、ときどき岩盤の段差なのか落ちていた石なのかで大きくバウンドします。

砂でタイヤが空回りして、何度かみんなで降りて車を押すこともありました。

最初3日分の食料をビニール袋に入れて持っていました。体勢的には太ももの上に置くしかなかったんですが、何時間もゆられると重みからくる痛さに耐えきれなくなってきたので、ペットボトルの水だけを残してすべて砂漠に捨ててしまいました。

神罰

モーリタニアは、モロッコなど北アフリカ諸国と同じくイスラム教の国です。自分以外は現地の方なので、時間になるとみなさん車から降りてメッカに向かってお祈りをします。

車は日が暮れてまっ暗になっても走り続けていたんですが、21時ごろに何かかたくて大きなものを踏み越えたのか、この日最大のバウンドがあって車が動かなくなりました。

また降りて押さないとと思っていると、誰かが後ろの方に走っていってタイヤを転がして戻ってきました。

ああ、このタイヤを踏んだのか。

と最初は思ったんですが、車軸の部分が熱で赤く光っています。

え、もしかして、このタイヤってこの車の・・・?車軸が折れた!?

「お前がちゃんとお祈りをしないからだ。」

追記 2023-08-11

リアルタイムメモが見つかったので、詳しい情報を補足しています。

サハラ砂漠縦断回想録(6)-4つの選択肢

2002年1月の話です。

ヌアディブの南は、首都ヌアクショットまで500kmほど町がありません。

今Googleマップで見ると道がつながっているけれど、この道路ができたのは2005年のことだそうなので、当時はただただ荒野が広がっていただけです。

ここをどうやって越えるかが、サハラ砂漠大西洋岸ルートの最大の難関でした。

選択肢1:ヒッチハイク

ヌアディブでは、「キャンピングホテル」というスタイルのところに滞在していました。

主にマイカーで砂漠越えをする人のための宿で、塀で囲われた敷地に車を乗り入れることができて、客室は相部屋になっています。

自分と同じ日にダクラから移動してきたヨーロッパの方たちもいっしょに泊まっていたので、まずここでいろいろ話を聞くことができました。

ヨーロッパで車を買って、自力で砂漠を越えることができれば買った値段よりも高くで売れるので、その差額で旅を繰り返すことができるということ。

砂漠はどこでも自由に走れるわけではなくて、地形的に通れないところもあるので、現地ガイドを雇わないとうまく抜けられないということ。

そして、ヌアクショットまでの移動の間に2泊するということ。

ダクラからここまでと同じように、この方たちの車に乗せてもらうこともできたとは思うんですが、お世話になりっぱなしだと申し訳なさすぎるのでこの選択肢はなしとしました。

選択肢2:貨物列車

前回出てきた貨物列車に乗ってアタールという町まで行けば、そこからヌアクショットまで舗装路でつながっているらしいという情報がありました。

選択肢3:パブリックカー

砂漠を越えてヌアクショットに向かう「パブリックカー」というものがヌアディブの町から出ているという情報がありました。

選択肢4:飛行機

町を歩いているとプロペラ機のようなものが飛んでいるのを見かけたので聞いてみると、飛行機でヌアクショットに行くこともできるようです。

さいころを振ってみる

当時ほぼ毎日ネットカフェに通っていて、自分のホームページの掲示板にリアルタイムで生存報告をしていたんですが、その掲示板にはアクセスカウンターを設置していました。

選択肢2〜4のうちどれにするか、翌日開いたときのアクセスカウンターの数値を3で割ったあまりで決めようと掲示板に投稿。

その結果、パブリックカーが選ばれました。

苦手なフランス語での情報収集だったので、その時点ではそれがどんなものなのか正直よくわかっていませんでした。